アフターコロナ対策で事業者が今すぐ始めるべきWEBマーケティング施策
目次
はじめに
この記事ではアフターコロナを見据え、苦しい状況である今だからこそ始めたい「安定した事業運営を支えるマーケティング施策」についてお伝えします。
コロナショックがおさまった後に「お客様が戻ってこられる」ようにするためのポイントです。
経営者・個人事業者として、今後も事業を続けていく意志のある方向けです。
新型コロナウイルスの影響で、業績悪化に歯止めがかからない状況ですが、少しでも先の見通しを立てていただけるきっかけになることを願っております。
※この内容は2020年3月末に自主開催したセミナーでお話した内容の一部を、追加修正したものです。
コロナショック後に明暗が分かれる事業者の特徴
今回お伝えするのは、アフターコロナを見据えた「事業の安定化を図るためのマーケティング施策」です。
2020年4月現在も、新型コロナの感染拡大がおさまらず、観光業、飲食業を中心に、かなり苦しい状況にある事業者さんが増える一方です。
もちろん、最優先で行うべきなのは、会社やお店をつぶさないことです。
大きくは短期での資金調達と雇用維持になると思います。
「とてもじゃないが先のことを考える余裕なんてない!」
このように、感じている方が多いとは思います。
ただ、こういった危機を人類は何度も乗り越えてきました。
時期は分かりませんが、いずれ必ず平和な世の中になると信じています。
まずは、事業者がアフターコロナを見据えて今すぐ始めるべき2つのことお伝えします。
- 非常事態が落ち着いたときに、以前の事業を再開するかどうかを決める
- 再開するのなら、今までのお客様とのつながりが切れないようにする
すでに、今の事業継続を断念され、他業種への進出を考えている方には、これからお伝えすることは役に立たないかもしれません。
ただ、例えば飲食店なら宅配・テイクアウト専門店に変えるなど、既存の事業の延長を含めて、事業を継続していくと決めている方に、すぐにでも始めていただきたいのが「顧客との関係が切れないようにする」活動です。
これはアフターコロナ、つまり平常時に戻った時に、自分のお店や商品・サービスに戻ってこられない事態に陥らないための取り組みです。
「これまでのお客様に見限られない」ように、何をすればいいのかという話です。
ホンマでっか!TVでも同じことが放送されていた
このことを「文化が淘汰される」という言葉で、4月8日放送のフジテレビ「ホンマでっか!?TV」で、心理学の植木理恵先生が次のように話されていました。
ネットの記事を引用させていただきます。
特に注目を集めたのが植木氏の「文化が淘汰される」という発言であった。植木氏によると人間の心理には「禁止効果」というものがあり、人は突然何かを禁止されるとそれを求めてしまうという心理があるという。
つまり、規則やルールなどを禁止されると破る人が出てきたり、手に入らないとなると突然欲しくなるという心理状態が働いてしまうというのだ。
長い間自粛しているものが再開された場合に人は多く押し寄せる傾向にあるといい、新型コロナによる自粛が落ち着き、中止となったライブやイベントが再開となると、ドッと人が押し寄せる可能性があるという。
そうすると芸能界では再開時に観客側の審美眼が高くなり、その人の本当の実力が試される機会が増え、それまであいまいな実力で生きてきた芸能人や文化が一気に淘汰される可能性があると植木氏は指摘した。
植木氏は自粛が続く中で、何かを発信する以上に、今のうちに力をためこみ、力を付けておくべきではないかとまとめた。
出典:exciteニュース「コロナ自粛解禁後、エンタメ業界に異変が? マツコも「全力を出せるようにしておかないと」と納得」
休業要請や外出自粛で客足が遠のいただけだと思っていたのに、いざコロナショックがおさまっても、業績不振が続いてしまう可能性があるということです。
もしそうなったとしたら、きっと「競合他社に乗り換えられた」か、「もう必要ないと思われたか」のどちらかでしょう。
つまり、お客様の心の中で、「今まで選んでいたお店や商品サービスのリセット」が起こってしまうイメージでしょうか。
全くフラットな状況で改めて購入先を決めるとき、今まで以上に厳しい目で判定されるという話ですね。
つまりこれまで以上に、しっかりと戦略を練ったうえでのマーケティングが必要ということです。
具体的には「自社は競合他社との違いを明確に伝えられているか?」がポイントになります。
実際、そのことを裏付けているかのような言葉が「文化が淘汰される」です。
そもそも、自社とお客様との関係性が希薄だと、例え新型コロナ騒動がおさまったとしても、業績回復ができるかどうか極めて難しいとの警告です。
営業再開を待っているお客様こそ本当の資産です
お客様とつながるには独自の価値が必要
植木先生の話から導き出せる、アフターコロナを見据えた取り組みの核となるのが、「また買いたい」と思ってくださるお客様との関係を保つことだと言えると思います。
お客様との関係と聞いて思いつかれるのが、LINEやメールの配信でしょうか。
しかしながら、発信を単純に繰り返していても、顧客との関係が切れないことにつながるのかを冷静に見極める必要があります。
ではお客様との関係を切らないために、どんなことを発信すればいいのでしょう?
実際に外出自粛要請が出ている状況ですから、直接会うことはできないでしょう。
飲食店ならLINE通話などで話をするような関係でもないでしょう。
やはりLINEやメールなどの配信が現実的です。
問題はその内容です。
ここからは私の私見ですが、これまで集客支援をしてきた中で、お客様と良好な関係を築いていた方は、概ね次のメッセージを発信されていました。
そのメッセージとは自社の商品やサービスに込めた「自社ならでは価値」についてです。
つまり、これからアフターコロナを見据えて、やっていただきたいマーケティング施策は、「今までどんな価値を提供してきたのか」を正確に伝えることです。
また、事業をしっかりと継続していくなど、「これからどうしていくつもりなのか」も併せてお伝えすることが重要だと思います。
こうした本当の意味でのコミュニケーションが、顧客との関係を切らさないことの本質的な部分だと考えています。
顧客名簿の人数が多いからといって安心してはいけない
また「顧客との関係を切らないように」というのは、会社やお店が営業を再開したときに、「すぐに連絡を取れる方がいる」という状況を作っておくことです。
つまり「顧客名簿をしっかりと作ること」が安定した事業の核になるわけです。
顧客名簿の重要性は十分お分かりのことだと思います。
その意味で言えば、事業者が本当に蓄えるべきなのはお金ではなく、お客様との関係性の証となる顧客名簿だということです。
資金はいくらでも調達できます。
でもお客様からの信頼は誰からも借りられません。
自社が自ら獲得していく以外ないのです。
「応援してもらえるお客様との関係性」を築くことこそ、安定した事業運営を行う上での最優先事項だということは、偉大な経営者の方々も主張されています。
形としての名簿(メールアドレスやLINE公式サービスの登録者)の人数がいくら多くても、再度契約・購入・来店していただけない方とは関係が切れているのです。
「新型コロナウイルスの影響で客足が遠のいていると思っていたら、実際は他店に移られていた」
これが「文化の淘汰」の具体的な姿でしょう。
「文化の淘汰」で消えないためにすることとは?
では淘汰されないために、今、何をするべきなのでしょう?
どうやればまた来店・購入をしてもらえるのでしょう?
応援してもらえるお客様になってもらうには何を伝えればいいのでしょう?
私が考えるに、それは「なぜ自社は今の商品・サービスを提供しているのか?」に集約されるように思います。
「楽に儲かりそうだから」といった理由で事業をしている場合、「文化の淘汰」の対象になると思えるのは、私だけではないはずです。
もしかして、なぜ今の事業を始めたのかなんて考えたことがない方も多いかもしれません。
経営理念などを考えずに気軽に始めたという方もおられるでしょう。
でも事業を続けていく中で「お客様に絶対にやってはいけない対応」や「無理やり売り上げを上げようとしなくていい」といった営業時の軸になる考え方が生まれてきませんでしたか?
これこそが経営理念を具体的に表している営業方針であり、お客様との関係をどう持つのかを自身で決めているのです。
これは「お客様に約束している」のです。
一方、「儲かれば何でもいい」と思っているようなお店は、きっと営業方針もなく「売り上げを上げろ!」しか無いように思います。
一度、逆の立場に立って考えてみてください。
その商品やサービスが「単に儲かりそうだから」やっている方と「お客様に最高を届けたい」と思っている方の、どちらを選びたいでしょう?
きっと後者だと思います。
それもそのはずです。人は感情が動かないと購買行動を起こさないのです。
「感情で決めて理性で言い訳をする」という話もあるくらいです。
その商品やサービスを「どのお店で買うのか」は感情で決めるのです。
つまり我々事業者は、自社の商品・サービスにしっかりとした想いを込めておくべきなのです。
その想いに共感された方がお客様としてお見えになるのですから。
であれば、「その想いを体現しているであろう商品やサービス」のことを、お客様に伝えることから始めてはどうでしょうか?
自社が提供してきた商品やサービスを通して「提供しているはずの価値」が「本当にお客様に伝わっているのか?」が重要なのです。
「競合他社のモノと比べてどう違うのか?」
「購入いただくメリットやベネフィットが何か?」
こういったことを伝えながら、目先の売り上げ確保に走らず、お客様に有益な情報やメッセージの発信がアフターコロナを見据えたマーケティング施策であると考えています。
まとめ
今回はアフターコロナを見据えて、お客様との関係を切らないように、自社の想いを体現している商品やサービスを通して「どんな価値を提供しようとしているか」「なぜその商品やサービスを扱っているか」など、事業者としての想いを発信してはどうかという提案でした。
これまでの経験や、先輩経営者の話を聞くにつれ、目先のお金を求めていては、かえって得るものが少なくなると感じることが多いです。
どうか「お店の営業再開を待ってたよ」と言っていただける、お客様とのつながりを深め・増やす取り組みをしてください。
実はここまでの話が、安定した事業運営のためのWEBマーケティングの核になる部分です。
ここをおろそかにしても集客に苦労するだけです。
売り上げ獲得に苦労するのは「価値提案」ができていない、もしくはその価値提案が伝わっていないかのどちらかです。
「Facebook集客」とか、「LINEでリストマーケティング」といったノウハウやテクニックは単なるツールです。
どうか大事なことを見逃さないようにして、アフターコロナ時に慌てなくてもいいように今から対策をしていきたいですね。
最後に坂本龍馬が残した名言を引用します。
金よりも大事なものに評判というものがある。世間で大仕事をなすのにこれほど大事なものはない。金なんぞは、評判のあるところに自然と集まってくるさ。